Unusual you

□Unusual days
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始まりの恋





リンゴンと鐘が鳴った、ような気がする

俺じゃなくて

「大丈夫?」

王子様みたいな顔のノンケの方ね

「あ、あの」

大野センセェいますか、て

なんだかべらんめえな口調に笑いが溢れる

あ、

ムッとした

「ごめんな、そんで何の用?」
「だからさ、大野センセェいるって聞いてんの」

タメ口に変わったとこみると、俺を同期、か後輩の研修医だと決めつけたな

「んふふ」
「…何?」
「ちょっと待ってて」

面白いからこのままにしとこうか

「大野先生休み時間終わりですよ!」
「え?」
「ええ!?」

あーあ

「師長さん…ダメじゃん呼んじゃ」

バレちゃったじゃん

何言ってるんですか、てセカセカ歩いていく師長を見送って

白衣の胸ポケットからネームを表に反す

「あの」
「ん?」
「大野センセェです…よね」
「うん大野先生」
「せ、先生」
「うん、よろしく。ええと」
「櫻井です内科の!」
「ああ、」

名前を聞いてやっと、今度合同で診る患者の内科担当の研修医だと気づいたりして

だって

「櫻井先生カッコいいね」
「え!?」
「顔」

真っ赤になった研修医を置き去りに、ナースステーションを後にした


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