いま愛を語ろう
□タナバタ
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最低とまで言わしめたあなたの真意は図りかねますが、その切なそうな顔は反則!
「智くん、場所変えよう!」
「え? え〜?」
むんずと掴んだ腕を引っ張り智くんを立たせて歩き出す。
草が繁った植え込みを跨いで細い道に出て黙々と。
引っ張られている智くんは、ちょっと、とか、何だよっ、とか言っていますが。
「しょうがねぇなぁ」
やっぱり最後にはその言葉で締めくくり、その後は黙って俺に付いて来てくれた。
やっべ。
久しぶりにメッチャワクワクしてる。
待ち合わせ。
車じゃなくて電車で移動。
恋人の言動に振り回されて、しまいにエッチな気分になるとか。
「デートっぽい!」
小さく呟いてニヤケる俺の後ろで、智くんが吹き出したのさえ嬉しくて。
腕を掴んでいたはずなのに、いつの間にか繋いでいた智くんの手をぎゅっと握り締めた。
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