いま愛を語ろう

□Stand up !
36ページ/37ページ


イソイソとDVDを鞄へ突っ込む相葉ちゃんを放って、智くんが寝転ぶソファーへ移動した。


足を床に下ろし、上半身はソファーに投げ出した形の智の頭の隣に腰を降ろして。

「智くん? 身体大丈夫?」
「んなわけない」

はい。

おっしゃる通りです。

ちょっとだけ怒気を含んだ声に焦ったりして。



「あ」


見下ろす智くんの首筋。

首から僅かに浮いたTシャツと背中に続く脊椎の隆起に。


「ん…?」

ぼんやりと紅い情事の痕。


「何でもない」


指を這わすなんて、今までなら考えられない。

「くすぐって…って」

方眼で俺を見上げる智くんに笑いかけて、また立ち上がる。


「先に行くね」
「おう…」

男前に返事をする唇に、指でキスをした。







注いで、注ぎきれなくて。

受け止め、受け止め切れないもの。


全部が全部、本物でなくてもいい。

時々は代替品でもかまわない。


そういうもの達とうまく付き合って行くようにしろ、と。


これは昨日の智くんの言葉。


まあ、力を抜けって事かな?



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ