いま愛を語ろう
□Stand up !
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イソイソとDVDを鞄へ突っ込む相葉ちゃんを放って、智くんが寝転ぶソファーへ移動した。
足を床に下ろし、上半身はソファーに投げ出した形の智の頭の隣に腰を降ろして。
「智くん? 身体大丈夫?」
「んなわけない」
はい。
おっしゃる通りです。
ちょっとだけ怒気を含んだ声に焦ったりして。
「あ」
見下ろす智くんの首筋。
首から僅かに浮いたTシャツと背中に続く脊椎の隆起に。
「ん…?」
ぼんやりと紅い情事の痕。
「何でもない」
指を這わすなんて、今までなら考えられない。
「くすぐって…って」
方眼で俺を見上げる智くんに笑いかけて、また立ち上がる。
「先に行くね」
「おう…」
男前に返事をする唇に、指でキスをした。
注いで、注ぎきれなくて。
受け止め、受け止め切れないもの。
全部が全部、本物でなくてもいい。
時々は代替品でもかまわない。
そういうもの達とうまく付き合って行くようにしろ、と。
これは昨日の智くんの言葉。
まあ、力を抜けって事かな?
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