いま愛を語ろう

□我が儘に我慢
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「………」

何も。

聞こえない訳じゃない。

「……は…」

時折息を吐くような、喉から絞り出したような。

押し殺した。


「…智、くん」

ぎり、っと。

俺の声に答えるように歯をくいしばり、耐えるあなたの。







「え?」

シャワーを済ませて、まだ濡れた髪のまま俺の横に潜り込んだ智くんは。

「なに?もーいっかい言って」

盛大な欠伸をしながらそう言いました。

「…声」
「声?」

うん。

声だよ。

「翔くん、はっきり言わねぇと分かんないって」

あなたが言いますか!?

けど、そうだよな。

言わなきゃ分からない。

「あのね智くん」
「ん?」


俺とシテて、

「気持ち良い?」

ですか。



「………」

あれ?

「智くん?」

固まったままのサトシくんの裸の肩に毛布をかけ直して、顔を覗き込んだ。

「ばか!」
「何で!?」

今度は俺が固まります。

だってさ。

ずっと気になってたんだよ?

「声、出さないよね?」

全然。


それってさ、

「感じてない?」

って事じゃね!?


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