いま愛を語ろう

□Sweeter and Sweeter
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「麻薬って…」

ちょっとヤだな。

口が尖って、眉間にシワ。

「言葉の綾だってば」

宥める俺の肩に軽い衝撃。

「智くん?」
「仕事、頑張れよ」
「あ……うん」


よっ、と小さく声を出して立ち上がる智くんが。

「ん」

差し出された手。

伸ばした腕と掌は易々と握り締められ、絡み取られて。


いとも簡単に引き起こされる。


軽ぃな。

寂し気な顔を見せないように、ソッポを向くあなたに。

今は心の中で謝るしかない。

大丈夫。

あなたが見てくれるから、もう無茶はしないよ。

痩せたって元気な俺でいられるように。


「智くん、お嫁さんに来てくれないかな」


「は?」


テーブルの上に重ねてある俺の荷物を手に取って、ついでに投げ出したままだったらしい智くんの鞄も抱えて。


「なに? 聞こえねぇよ」
「…何でもない」

まだ、きっと俺達には早いね。

始まったばかりの関係が、壊れてしまわないように。

ゆっくりと。


「行こうか」
「おう」






「そうだ、俺、ニノに言ったから」
「え!?」


やっぱり、あなたが!?


とうにバレてたけどな。

聞こえた呟きは聞かなかった事にします(したい)!











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