いま愛を語ろう

□To you !
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あー……。

気持ちいいなぁ。

良い匂い。

匂い?

薫りって言った方が当たってんのかな。


「あ〜」

声が跳ね返って少しだけ響く。

「あー」
「なに?」

あ、止まっちゃったよ。

「やめないで、何でもないから」
「そ」


気持ちいいよ。


「かゆいトコは?」
「ん〜耳の後ろ…」


クス。


頭の上で笑う気配。


「はいはい」


優しい声。










誕生日には会えないな。



今年のカレンダーを捲ったとたんに分かってた事だ。

月曜日。

「あちゃー」

思わずこぼした声に、反応した智くんが笑ってた。


「忙しいもんな」


頭をクシャッとされて。

ああ、このひとの方が先に分かってたんだなって。

「今回も電話してやるよ」

去年の誕生日。

最後の電話がこのひとで。


一日中このひとの事を考えて過ごすなんて、贅沢っつーかヤキモキっつーか、そんな特別な日だったっけ。
あれから一年。

次の誕生日には一日中一緒にいて欲しかったけど。




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