いま愛を語ろう

□Stand up !
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人間には、きっと許容量″ってのがあって。

それが一杯になると何かで代替して均衡を保とうとするんだと思う。


例えば、それが物理的なもの(お金とか物)だったりする場合はいいんだ。

そこにはきちんとした理由と、確認できる代替品″があるわけだから納得も出来るってわけでさ。


だけど。


「はあぁぁ…」
「どうしたの? 櫻井くん」
「いえ、何でもありません」

不思議そうにこちらを見る共演者の方に笑いかけ、大丈夫をアピール。

このあたりの切り替えは得意なんだが。


「はぁ…」


今日に限っては上手くいかない。






智くん。

俺、どうしたらいいですか?








『翔ちゃんお帰り〜』


キーン、と耳をつんざくような元気な声に、思わず携帯を持った手を身体から目一杯離していた。

『翔ちゃん?』

こんだけ離してんのに普通に聞こえるって!?

「も、もしもし? 相葉ちゃん、声デケーって!」
『え? なに!? 聞こえないよ』
「お前がちょっと黙れよ!」


ごめんねと笑いながら謝る声も普通にデカイ。

「ちょっ、マジ話聞いて」
『なに?』

やっとの事で会話が成立。

ほっと一息ついて、話そうと思っていた事を頭の中で整理する。

頑張れ、俺。

恥ずかしいのは一瞬だ(たぶん)。

「相葉ちゃん、実は相談があんだけど…」



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