いま愛を語ろう

□男の子の作り方
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「なぁ、翔くん」
「はい!」

鏡に近過ぎやしませんか?

「下もあった方がいいか?」
「どこの下!?」
「声がデケーよ…、唇に決まってんだろ?」


やっぱり!?


「智くん、あのね」
「翔くん好きだもんな」

え!?

「だからね、智くん、それは」
「中々伸びねーんだよな」


たがら、話を聞いて下さい。

「俺って童顔じゃん? ちょっとコンプレックスみたいなのあんだよ」
「はあ」
「だから、少しでも年相応に見られるといいかなぁって」


きっと今このひとに何を言っても無駄。

すっかり虜になってますから。

「智くんはそれが無くても充分格好(可愛)いいよ、だから」
「またぁ…、翔くんは何でも誉めればいいと思ってんだろ?」


何でこだわるんですか?


「…どお? 似合うだろ?」

にあ…います。

「うん…」

多分。

俺の返事に顔を輝かすあなたを前にして、絶対に口に出せない言葉が頭を占領してます。


『出来ればやめて下さい』


「もう少し濃い方がいいか?」
「いやぁ〜充分じゃないかな…ハハ」




只今、智くんはお髭に夢中です。



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