すた☆だす 1st Season

□プロローグ「羽撃き」
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俺は奇跡なんてもの信じない。
ドラマなんかでよくやる「奇跡」。俺はそれが嫌いだ。
 奇跡なんてあんなに頻繁にあってたまるか。
だから奇跡なんて安っぽいもの、俺は信じない。


「雲はいいよなぁ……」

大空を見上げて、俺は呟いた。

「もし翼があったら、俺も空を自由に飛びたいなぁ……」

ここは学校の屋上の入り口の上。今は丁度昼休みになった所だな。
ん、授業? サボりだ。
よってここには俺以外誰もいない。いるとすれば、鳥の群れだ。

「よっと」

起き上がり、下に飛び降りる。周りにいた鳥達も一斉に飛び立った。
その時、下に人がいることを初めて知った。
黄色いリボンをカチューシャみたいに着けている、紫色の髪の女子。
俺に驚いたみたいで、キョトンとしている。
その娘の頭の上にさっきの鳥の羽が乗っかっているのに気付いた。
手を伸ばし、羽を取ってやる。

「付いてたぞ」

それだけ言って、俺は教室に戻っていった。
もし俺に翼があったら、この時既に羽撃いていたのかもしれない。


続く
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