すた☆だす 2nd Season U
□第39話「離れ行く道々」
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それから一ヶ月。
檜山みちるは何故か俺と積極的に話すようになっていた。
単なる興味にしても、長く持つモンだな。そんなにお坊ちゃんは暇なのか?
「白風君は、学食嫌い?」
「……はやとでいい」
白風、と呼ばれると否応なしにアイツを思い出す。
だから、呼び捨てでもいいから名前で呼ぶよう告げた。
すると、みちるは嬉しそうな表情を浮かべた。
「はやと……えへへ、何だか友達みたいだね」
「友達……」
俺と、みちるが友達。そんなこと、出会った時は全く思い付きもしなかった。
サボり魔とお坊ちゃんが友好関係。普通はありえないだろう。
けど、みちるは俺と友達になれたと、喜んでいる。つくづく変わった奴だ。
「お前、何で俺に付きまとうんだ?」
友達ついでに、俺は前々から持っていた疑問を聞いてみた。
俺みたいにつまらない人間に、何故そこまでの興味を持つ?
すると、みちるは申し訳なさそうに答えた。
「僕と、違う価値観を持ってるから、かな? あと、自由に生きているのに憧れたから……かも」
「何だよ、かもって」
「あぅ、ゴメン……」
何だか弱い根拠だが、納得は出来た。
確かに、俺とみちるは様々な点が違う。けど、違うからこそ、そこに憧れる部分があってもおかしくない。
例え、自分がいくら劣ってるとしても、だ。