短編集B
□rush
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「ねぇ…何してるの?」
「神さん、いい匂いする。」
「……」
犬か。
ってツッコミたくなる。
練習後。
部室で制服に着替える横で、さっきから人の匂いをクンクン嗅いでいるノブ。
いい匂いって言われるのは嫌じゃないけど、こうあからさまに嗅がれると少し抵抗がある。
「ノブ、さっきから嗅ぎすぎだって。」
「いーな、神さん。ただでさえカッコいいのに、こんないい匂いしたらみんな神さんの事好きになっちゃうっスよ。」
「大袈裟だな、ノブは。」
「何か、落ち着くんスよね。神さんの匂いって。」
「…ノブ。オレ、そういう趣味ないから。」
「ちっ、違いますよ!そういう意味じゃないっスから!何か…スゴい優しい匂いするから…安心するんスよ。」
本当にこの後輩は。
だから、憎めないんだよ。
こういう、可愛い事言うから。
「ノブもつける?」
「えっ?」
「はい、オレの匂い。気に入ったんでしょ?」
ノブの目の前に香水のボトルを差し出す。
「使っていいんスか!?」
「いいよ。これから、デートなんでしょ?」
「なっ!何でそれを!?」
「ノブ見てれば分かるよ。ノブが身だしなみに気を使うなんて、滅多にないからね。」
「…神さん。何かバカにしてません?」
「まさか。ホラ、貸してあげるから、早く行きなよ。」
「あ、あざーっス!!」
満足そうな顔で香水をふりかけるノブ。
ノブから漂ってくる香り。
オレと同じ香り。
「…何か…違う?」
「どうしたの?」
「何か…神さんと違う。神さんからする匂いの方がいい気がする。」
「そう?同じでしょ。」
「大体は同じっスけど…何か違うんスよ。」
「…ああ。」
「なんスか?」
「そういう事ね。」
「だから、何がっスか?」
「ノブにはもう少し、色気があった方がいいかもね。」
「は?色…気、っスか?」
不思議そうに目を見開くノブ。
ノブが言ってた、いい匂いの正体。
きっと、フェロモンでしょ。
香水なんかとは違う。
その人から漂ってくる匂い。
「よくわかんねーっスけど…オレ、神さんの匂いが好きっス!」
「男に言われても嬉しくないんだけどな…」
「何がっスか?」
「いや、何でも。ノブ、早く行きなよ。彼女、待ってるでしょ。」
「あっ!ヤベー!すみません神さん、お先っス!」
「うん。お疲れ。」
急いで部室を後にするノブを見送る。
フェロモン…か。
ノブには、当分無理かもね。
なんて思ったのは、本人には秘密。
END.
すみません。
夢でも何でもない、オフザケです。
個人的に、神にはrush2を纏って欲しいと思ってます。
爽やかな甘さが、神っぽい。
そしてきっと神からはフェロモンがムンムン出ているだろうと…
勝手に妄想しちゃいました。(笑)
2013.4.7