小説

□アイス
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「ねぇねぇ、黒りんた〜」

「なんだ?……って普通に返事しちまったじゃねぇか!!!」

「俺のせいじゃないよ〜?」


ファイは、ふわふわの金色の髪を揺らして後ろから腕を回して肩幅のある背中に抱きついた。


「暑苦しい」

「黒様眉間に皺〜。駄目だよ?折角の男前がもったいないよ?」


身を乗り出して黒鋼の顔を覗き込むと、ぐりぐりと眉間を人指し指で押した。


「ああっ余計に深くなった!!」

「あたりめぇだろうがー!!!」


叫ぶ勢いのままファイを振り落とした黒鋼は、深い溜め息を吐く。


「おまえ、暇なのか?」

「あ!黒たんアイス食べる?アイス!」

「てめぇ、人の話を聞きやが…っんぐ」


無理矢理に口に突っ込まれたソーダ味のアイスが、黒鋼の喉を潤していく。
束の間その冷たさにぼーっとしていると、ファイがじいっと見ていることに気が付いた。


「?…なんだよ」

「べっつにー。ただね、食べて黙っちゃう黒様って子供みたいでかわいいな〜って」

「ふざけんな!!」


そしてもはや日課となった追い掛けっこが始まった。




それを見ていた二人と一匹。




「もう二人だけの世界なの♪」




モコナが楽しそうに言うのに、サクラと小狼は沈黙するしかなかった。




***end




夏場のバカップルほど暑苦しいものはないです。




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