小説
□偽りに花は静かに咲く
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吸血鬼(ファイ)×ハンター(黒様)
加筆修正しました。 H22.1.24
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「遅いなぁ。待ちくたびれちゃったよ」
「羽生えてる奴に言われたくねぇよ!!!」
ぜえはあと荒い息を吐きつつ、黒鋼は叫んだ。
空を飛んでいたターゲットを見つけて追いかけ始めたのが30分前。
それからは走り通しだ。
無理もない。
目が合った男は、ギリギリ追いつけないスピードで後ろを見ながら飛んでいた。
憎たらしいことこの上ない。
「てめっ…逃げてたんじゃなかったのかよっ」
「君になら捕まってもいいと思ってるよ、オレは」
屋根の上に腰を下ろして、黒い翼を動かしてみせる。
夜の街に金色の髪が舞った。
スレンダーな体が闇夜に浮かぶ。
「なら捕まれ!!」
「君が仕事じゃなくオレを求めてくれるならね」
何だよそれは?!!
「まあいい。今捕まえちまえば関係ねぇからな」
「だから、それじゃあダメなんだってばー」
「待て!!」
これ以上被害を出すわけにはいかねぇんだよ!!
黒鋼は屋根の上から再び飛び立つ男を追うべく、走り出した。
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