ルークinヴェスペリア
□始まりの鐘がなる時
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リ……………ィ……ン
『同異体を帰す事、それ以外に、お前自身は何を望む?』
「俺?そうだな…、あり得ないけどさ、もしも…」
リ………ィ…………ン
リ…ィ……ン
夏も終わり、秋の訪れを感じさせる気温は寒く、夜も更ければ辺りは更に冷たい空気を纏う。
夜に溶け込んでしまいそうな服装と容姿をした青年、ユーリは、白い息を吐きながら、彼の愛犬であるラピードと夜の下町を歩いていた。
「寒ぃ…。帰ったら今晩は温かいスープでも食べるかラピード?」
「ワフッ」
ユーリの言葉に返事を返すラピードの頭を撫でながら、笑いかけた時だった。
ラピードの耳が何かの音をを察知したのかピクリと動き、突然上空を見つめて唸りだす。
「ラピード?何かあるのか?」
ラピードの突然の変化にいぶかしみながらも、ユーリも上空を見つめて身構える。
リ………ィ……ン
「?鈴の音…か?」
微かに聞こえる音をもっとよく聞こうと、耳に神経を集中させた瞬間、いきなり眩い光が辺りを照らしだした。
あまりの眩しさに顔を背けて俯くと、光を拒絶するように瞳を強く閉じた。