ルークinヴェスペリア

□頼りたいのは…
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部屋へと戻ったユーリが見たものは、窓辺近くで寝そべっているラピードと、その首にしがみついて静かに寝息をたてている子供の姿だった。


他人に触られる事を好かない彼には珍しい光景だが、更に驚く事にまるでルークを守るかのように身体を寄り添わせている。


「こりゃまた急激な心境の変化だな。なんかあったのか?」


ほんの数分前には想像出来なかった光景に、ユーリは方膝をついてラピードへと尋ねる。


ラピードはユーリの声に反応して顔を上げると、無言でルークと窓に交互に顔を向け、続けてユーリを見たかと思うと、最後にまたルークへと顔を向けた。


「…俺が出てくるのを見送ろうとして窓から落ちかけたとか?」


「ワン。」


開かれた窓とラピードの仕草で、まさかとは思いながらも口にすると、小さく肯定の返事が返ってきた。


「当たりかよ…」


苦笑しながら眠っている子供の顔にかかった髪を退けてやると、まるで切なそうに眉間に深く皺を寄せている姿が目に入る。


髪を払い退けた手を、そのまま頭に乗せてそっと撫でてやると、ピクリと身体が反応した。


一瞬起きたのかと思ったが、相変わらず静かな寝息が聞こえるだけだ。


そのまま頭を撫でてやると、表情もだんだんと和らぎ、寄せられていた皺もなくなった。


それを確認すると、女将さんの心配もあながち間違いではなかったなと思う。


思えば、この子供は起きてから一度も不安を口にしていないのだ。


不安でないわけがないのに何も言わず、一人で抱え込んでいたのだろう。


「ここに慣れるまでは、俺とお前の二人が付いててやらないと駄目って事か?」


口調は呆れ混じりだが、優しい眼差しをルークへと送るユーリに、ラピードはまたもや小さく肯定の返事を返した。






因みに、この日からルークとラピードは相思相愛の仲となり、ユーリへとべったりと懐くのは、ルークを拾った日から数えて一週間後となる。




――――――

あとがき

試し書きからいきなり本編に入っちゃったんで、一応補足説明的なお話です。

ルークは人見知りが激しくてなかなか近付けないけど、一度懐いたら自分から走り寄ってくれると思うんだ。
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