03/19の日記
14:22
とある王族の日常話B(試し)
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どたばたと慌ただしい足音は、大所帯なこの船では珍しい事ではない。
自分を探して名を呼ぶ声も最近では珍しい事ではなく、不本意だが…物凄く不本意な事だが、日常と化しつつあった。
今回いつもと違う点といえば…
「ルークさまぁぁぁ!?どこにいらっしゃいますかぁぁぁ!?」
探されているのが自分だけではないことと、
「ユゥゥゥリィィィィ!!!!君ってやつはぁぁぁ!!!!」
久しぶりに聞く幼なじみの怒声だろうか。
まずい、ありゃ相当怒ってるな。
捕まったらきっといつものお小言程度ではすまないだろう。半日正座で説教コースはきっと確実だ。
勢いで行動するんもんじゃねぇな。
反省はしてない(なぜなら俺は悪くない)けど、面倒なのはごめんだ。
さて、どうしたもんかとこれから洗濯するのであろう乱雑に積み上げられたシーツ上に胡座をかいて腕を組む。
隣に座る今回の元凶を見やれば、膝を抱えて小さくなり、珍しく真剣な顔でドアを睨むようにじっと見ていた。
気のせいでなければ、若干顔色も悪い。
(こっちはこっちでどうすっかね…)
軽く灸を据えるつもりだったが、ここまで怯えられると流石に怒りも収まるというものだ。
ここは大人の余裕で軽くからかってから解放してやるか。
「おい坊っちゃ…っ!?」
声を掛けようと身体を少し傾けた途端、突然強い力で肩を掴まれる。
完全に油断していた身体は勢いのままに倒され、ボフッという効果音と共にあっさりとシーツの上へと沈んだ。
それだけならまだしも、最悪なのはルークの手は未だにユーリの肩を掴んだままだという事実。簡単に言うと、ルークがユーリの上にのし掛かるような形となり、まるで先程の光景を再現したかのような体勢となったわけだが…
自分を真っ直ぐに見つめる翡翠に映るのは、あまりにも突然過ぎて、抵抗も録に出来ないまま驚きに目を見開く自分の姿。
だんだんと縮められる距離にお互いの吐息が交差し合い…
って、
まてまてまてまてまて!!!?
ヤバい!!これ以上はヤバい!!
何がヤバいって俺がヤバい!!
貞操的な意味で!!
なんでこうなった!?しかもよりにもよって相手がお坊っちゃんとか色々おかしいだろ!?甘やかした途端にこれかよ!まだ何も言ってねーけど!
おいフレン!!お前もいつまでも叫んでねぇでとっとと見つけろ!
いや、やっぱ面倒だから来んな!
表面上はいつものポーカーフェイスをなんとか保っているが、頭の中は大パニックだ。
自分でも意味不明なセルフ突っ込みを行いつつ、ルークの腕を掴んだのは謂わば身体に染み付いた悲しき防衛本能。
掴んだ瞬間ルークの身体がピクリと反応し、肩を掴む手にはいっそう力が込められた。
正直とても痛い。
ユーリもユーリの肩ももう色んな意味で限界だ。
本格的に抵抗すべく目の前の相手を睨むが、ルークは構わず口を開いた。
「俺フレンに刺されるのか!?」
「…は?」
漸く絞り出した声はとても間抜けな音がした。
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