3年Z組 銀八先生

□わかりません。
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土『先生。』
銀『お、どうした土方君。質問?』
土『さっきの授業のここがよくわからないんですけど…。』

土方は教科書を持って職員室に来ていた。
前の授業でわからない所があったらしい。

銀『だから、ここはこうだから…。ここでこうして…。』
土『あー、ありがとうございます。』
銀『わかったか?じゃあ家に帰っても勉強するんだよ。』
土『はい、さようなら。』

銀八は首をかしげた。
最近Z組で授業をすると、痛いほどの視線を感じる。
俺はてっきり猿飛だと思っていたのだが。
猿飛に聞いたら違うらしい。

銀『うーん…まぁ誰でもいいか。』

銀八は開き直り、残りの仕事を片付けた。
銀八が帰ろうとすると、外には人影が。

銀『……土方?』
土『ああ、先生。今帰りですか?良かったら途中まで一緒に帰りません?』
銀『かまわねーけど…お前何時間ここにいたの?まさか俺の事待ってたとか?』
土『ちっ、違いますよ!!たまたまです!!』
銀『土方が職員室出たのが7時くらいだから…2時間も待ってたの?』
土『………。』

銀八には土方の意図がわからなかった。
なにか相談でもあるのだろうか。

銀『…で、俺を待ってたって事はなにか相談でもあるわけ?』
土『…いえ…別に…。』
銀『どうしたんだよ、お前らしくねーなぁ。』
土『…………。』

銀八は土方の頭をなでた。
途端に土方が真っ赤になる。

………あ。
そういう事か。
わかったけど……土方はクラスの成績優秀者だし。
変に手を出して成績落ちてもマズい。

土『………。』
銀『……送ってく。』

銀八は土方の手を握った。
すごく冷たくなっていた。

銀『……冷たいね、寒かったでしょ。』
土『…そんなのは全然平気です。』
銀『あ、俺ん家この辺だから。』

銀八が帰ろうとすると、土方は寂しそうな顔をした。

銀『……寄ってく?』
土『えっ!?』
銀『あったかいお茶くらい出すよ。』

生徒を部屋にあげたのは初めてだった。
土方は緊張しているようだった。
土方にお茶を出す。

銀『どーした?悩みでもあるの?最近浮かない顔してるし。』
土『……悩み…はあります…けど……。』
銀『話してみろよ。楽になるかも。』

すると土方がポツリポツリと話し始めた。

土『……俺、好きな人がいるんです…。』
銀『ふーん。』
土『…でも絶対叶わない恋で…。』
銀『何、おたく諦めてんの?駄目だよ〜!!!まだこれからなんだから!!』
土『…………。』


 
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