薄赤い妄想綴り

□新婚さんいらっしゃい 外伝
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表の「妄想綴り」にあります、新婚さんいらっしゃいシリーズ(いつの間にシリーズ!?)に
"「幸村は帰ったらいつもその場で…」"と言う台詞がありまして
それはどういう状況でしょうか?と言う質問(笑)がありましたので書かせて!いただきます。

でもやはり、その場ではやはり使用人もおりましょうし無理ですよねー(何が!)

…まあ、その…

とりあえず、「もしも幸村と姫が新婚さんだったら」と言う、もうここまでくれば恥ずかしくも何ともないわい、て設定ですので苦手な方はご注意くださいね。





   ***************


姫はその時間になるとそわそわしてくる。
もう、この屋敷の主が戻る時刻だ。
「どうぞ、お出で下さいな。」
そんな様子を察して女中頭が姫に厨房から出るように言う。
いつものように夕餉の支度を手伝っていたが
「それでは、お出迎えに参りますね。」
姫も待っていたかのように立ち上がった。

後に残された、剥きかけの芋に女中たちは
苦笑いして
「手伝って下さるのはいいけどね…。」
「まあまあ、頭ごなしの主人よりいいじゃない。」
と後始末にまわる。


「只今戻りました。」
姫が出迎えるのと、幸村が言うのとが同時だった。
「お帰りなさい、幸村。」
走ってきたので姫が少し息を切らせながら駆け寄ると
幸村の頬が少し染まる。
そしてそのまま抱きしめると、赤い顔の割には大胆に口付けた。

「おいおい、何ヶ月も離れてたわけじゃあるまいし。なんなんだよ?」
幸村の後ろから五右衛門がうんざりした声を出した。
「ご、五右衛門、幸村と一緒だったの?」
「あ、忘れてました。」
なんだよそれ!と声を荒げる五右衛門に姫も頬を染めながら
「さ、さあどうぞあがって。」
と促した。


五右衛門がこの屋敷に来るのは珍しい事ではなかったが、
その夜は幸村と散々飲み比べしてとうとう寝てしまったので
そのまま泊まるはめになってしまった。
「ごめんなさい、幸村。図々しく寝てしまって…。」
居間にひいた布団で高いびきをかく五右衛門に
姫がため息をつくと
「謝る事はありません。姫の家族のような者ですから、俺にとっても同じです。ただ…。」
幸村がその場を離れるよう促しながら言いかけてやめた。
「ただ?」
聞きなおされても幸村は答えず、代わりに
姫の手を取ると整えられた寝所へと入った。
客人の眠る居間と程近い場所。
姫は幸村の意思を感じて戸惑った。
「あの…今夜は…。」
拒むつもりで見上げた幸村は、気持ちの高揚のためか酔いのせいかすでに頬を染め
「ただ…今宵は…お声を、あまり…。」
「ゆ、幸村…そんな…。」
そして有無を言わさぬ勢いで唇を重ねて来た。
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