薄赤い妄想綴り

□白む空染まる赤
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外がようやく白んで来て、闇に沈んでいた庭の木々が
少しづつ輪郭をはっきりさせ始める頃、姫はふと目を開けた。
心の中は静かに満たされている。

それは寄り添って眠る、幸村の体温を感じているから。

ぼんやりとした明るさの中で、姫はそのままでじぃっと間近の幸村を見詰めた。
きちんと上を向き、静かな寝息を立てているその横顔は端整で
それでいてまだ少年のようであり、とても天下無双の武将とは思えない。
少し身体を起こして見ると、乱れず眠っているようで幸村の片足は布団からはみ出している。
ふふ、と小さく笑った姫はそうっと布団から出るとそれを直し、
夜明けの空気を吸おうかと障子に手をかけた。

「どこへ行かれるのです…?」

すると、後ろから声がかかった。
振り返ると幸村が目を開けている。

「起こしてしまった…?」
「そうではありませんが…。」
「少し外の様子を見ようかと…。」
姫が言いかけた時、幸村がおもむろに起き上がってその手を取った。
「…まだ夜明けには間があります。」
そして座ったまま引き寄せて抱きしめた。
昨晩、何度も求めたその細い身体を確かめるように。
「ゆ、幸村…もう、外は明るく…。」
首筋に口付けられ、姫が抗議する。
だがそれは無視された。
寝姿で緩んでいた襟元がぐいと開かれ、豊かな二つの膨らみがこぼれる。
「…駄目です…!」
それを隠そうとして背中を向けると、今度は背後から抱きしめられ
両手で乳房を包まれてしまった。
「…も、う…人が来ます…。」
「まだ皆寝ています。」
耳元で囁かれ、膨らみを少々乱暴なくらい揉みしだかれると
「…ん…ふ…っ」
思わず姫の口から声が漏れてしまう。

幸村は、姫の首筋に昨夜つけた赤い印を見つけて満足そうに微笑んだ。
そしてそのすぐ隣に再び唇をつけて強く吸う。
「…きゃ…っ」
姫がピクンと身体を震わせる。
それでも唇は離さず、更に硬くなった膨らみの先端を指でつまんで捏ねる。
「あ…ん…。」
甘い声が漏れ始めると、姫はもう抗う事はできなかった。

幸村が姫の身体をこちらに向かせ、そして軽々と抱き上げると再び夜具の上に寝かせた。
そしてすでに身体を隠すほどではなくなっていた寝衣を完全にはだけさせる。
「…み…見ないで…。」
もう目ではっきり見えるほど、朝の明るさは迫って来ている。
流石に裸体すべてをさらけ出すのは躊躇われて姫が身をくねらせると
幸村は黙って見下ろしているだけだ。
その視線がたまらなく恥ずかしくて、姫ははだけた寝衣で隠そうとしたが
その手を幸村が止めた。
「…見せて下さい、全て…。」
そして囁くと、ゆっくり身体を重ねた。

暖かく柔らかな乳房に口付けし、右手はゆっくりと白い肌を滑りながら下りていく。
薄桃色の先端を軽く噛み、そして舌で転がすと姫が身体を反らせた。
「…ああ…ん。」
そして下りた右手は茂みの中に分け入り、昨夜何度となく貫いた箇所へと無遠慮に到達した。
そこは、自らの放ったものか姫の想いか、熱く溢れている。
だからこそ、幸村の指を容易に受け入れた。それに気を良くして指を増やすと、
「…ああ…っ」
ひときわ声を高く上げて、姫の身体が震えた。
幸村の指がきつく締め上げられる。まるでそこだけが別の生き物のように
ざわざわと侵入してきたものを排出しようとするのか、もっと深くまでと
求めるのか蠢いている。
「…見たいのです、姫…が…。」
幸村は強引に指を引き抜くと、すでに膨らんでいた茂みの中の蕾に触れた。
「ああっ!」
まるで待っていたかのように姫が幸村の頭を抱こうとしたが許されなかった。
幸村は姫の一番感じる場所を刺激しながら、頭をあげ、姫を見ている。
「…!ゆ、幸村…!」
姫はその意図を感じて名を呼んだが、幸村の指が再び侵入し、その上親指で
膨らんだ蕾を刺激されて抗えない。
「…い…いや…!」
そう言うのが精一杯だった。
幸村の指が激しく出入りして、耳を塞ぎたくなる水音が響く。
「…や…めて。いや…。」
そう言いながらも、両足を閉じる事もできず身体が段々桃色に染まる。

「…姫の…お顔が見たい…のです…。」
幸村の声も荒んでいた。
指の出入りが激しくなり、親指がはじくように刺激する。
「…ふ…うん…っみ、見ないで…っ!」
姫が片手で顔を隠そうとした。だが、それは幸村が許さない。
真っ赤になりながら顔を反らせようとするのを、そっと手を添えて
自分に向かせる。
「…全てを、見せて下さい…。」
幸村の頬も紅潮していた。
瞬間、姫の目の前が真っ白になった。

「…っあ…ああ…っ!」

長い睫の瞳を固く閉じ、形の良い唇を開き甘い息を漏らした姫は
身体を弓なりに反らして震えると、ガクンと力を失った。

幸村は指を引き抜くと、ガバッと姫を抱きしめた。
言葉が出ずに荒い息を吐く姫に、呼吸が出来なくなるほど口付けると
そのまま、耐えがたく張り詰めた自身で貫いた。
「ああぁ…!!」
姫の指が幸村の背に食い込む。
その唇からはもう、言葉は出なかった。



「…今日はもうお休みしたい気分です…。」
すっかり明るくなった外の様子を感じて、幸村が呟いた。
「一日中、姫とこうしていたい…。」
その腕には、まだ息の整わない姫が居る。
「…お嫌ですか…?」
姫が何も言わないので、幸村が問う。
すると
「嫌です。」
突然の答えが帰って来た。
幸村がギョッとする中、姫は腕の中でも背を向けて
「…幸村なんて…き、嫌いです。」
「姫…!」
慌てて幸村が身体を起こすと、姫も起き上がって寝衣を手繰り寄せた。
真っ赤になって衣を整える姫に、
「拙者は嬉しかったのですが…そ、そんなに嫌でしたか…。」
幸村がしゅんとする。
「…。」
それをチラリと横目で見た姫はちょっと口を尖らせて
「…嫌いと言ったのは嘘です。…でも恥ずかし…。」
そう言い掛けたが、顔を上げた幸村が手を伸ばしたので続けられなかった。
「拙者には…ただ可愛らしく…。」
そして口付ける。

外ではもう、朝の営みが始まっているというのに、姫の部屋は
いつまでも閉ざされたままだった。



'09'26

ちょっと強気な幸村を書きたかったのですが
やはりさほどの事はできませんねぇ…。
そこが彼の良い所なのかも知れません。
(と彼のせいにする)

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