薄赤い妄想綴り
□夢幻の闇
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「…今宵だけは…抱きしめても良いですか…。
明日にはお忘れ下さい…。」
重ねた唇をほんの少し、離して呟くように幸村が言った。
「…幸村…。」
…どうして、拒む事ができるだろう?
…私のために、命を懸けてくれたこの若武者を?
姫は両手で幸村の頬を包んだ。
「忘れなどしません…これからも、ずっと…。」
そして今度は自分から口付けした。
…いいえ、私こそが望んでるのだわ…
「姫…!」
その口付けに力を得て、幸村はそのまま
固い床に姫と共に跪いた。そして
ゆっくりと横たわる。
姫の豊かな髪がふわり、と床に舞った。
姫の香りが立ちのぼる。それに幸村は眩暈すら覚えた。
「あ…。」
姫の首筋に熱い唇が落ちてきた。
そしてそれはゆっくりと下りてくる。
その間に幸村の右手は合わせた襟元から
白い柔らかな肌へと触れていた。
「んん…っ。」
幸村の指が、すでに固くなっていた姫の
乳房の先端に達した時、再び唇をふさがれた。