薄赤い妄想綴り
□浮遊
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柔らかく、そっと。それでいて確かに。
幸村の指が、隠れていた小さなものを探し当ててなぞる。
「あん…っやめ…て…ああ…。」
知らずに力が入り、姫が幸村にしがみつく。
「…やめるわけには行きませんよ。」
静かでありながら、普段の口調ではない台詞に
姫が顔を見上げるとそこにはいつもとは違う
甲冑をつけたときのような表情の幸村がいた。
迷いがなく、自信に満ちた…
「…幸村…あ!ああっああぁん…!」
後はもう、言葉にならず。
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その頃、信玄は一人渋い顔で呟いていた。
「ううーむ…。我の策は失敗かの?
幸村の成長を願うておったが…。」
その耳には、城中に響く姫の声。
「なんか違う方向に成長しておる…。」
'07'17