04/05の日記

21:47

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水温む季節、それまで息を潜めていた生き物たちが
長い冬を耐え一斉に命の営みを始める頃。

姫は、ぼんやりと座っていた部屋の床に何かが動くのを感じた。

よく見ると、小さなものが列を成している。

「蟻…?」

小さなそれが、大群で進む様ははっきり言って気持ちの良いものではないが、
自分の部屋に狙われるものなどないはず…と不思議に思って
彼らの進む先を目指してみた。

「隣…五右衛門の部屋?」

襖で仕切られただけの続き間を開けると、部屋の中央にごろんと五右衛門が寝転んでいる。

ああ、五右衛門なら何か食べ物を置いてる可能性があるかも…と列についていくと。


「きゃーー!」

姫は突然悲鳴を上げた。

「うお!?」

五右衛門が慌てて起き上がり、廊下を幸村が走って来て、屋根から佐助が飛び降りた。

「何事です、姫様!」

「どうした!」

「んあ姫? いったいどう…。」

その時、五右衛門は顔、特に口元に違和感を覚えた。

…なにか、もそもそと蠢いている。

「蟻が!蟻が五右衛門を…!」

どうやら何か食べながら転寝していたらしく、五右衛門の顔中に蟻がたかっていた。

「うわーうわーうわー!」

慌てて自分の顔を叩きまくる五右衛門に、幸村と佐助の怒声が響いた。

「いったい何をやっているのです五右衛門様!」

「ええい、いっそ蟻に運ばれて餌になっちまえ!」

おろおろするだけの姫の目の前を、井戸目掛けて五右衛門が走り抜けた。


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そろそろ蟻の季節ですね。

元ネタは知り合い(♀)がお菓子食べたまま寝たらマジで口の中に蟻がたかっていたと言う…

想像しただけで恐ろしいです。

ちゃんと歯磨きして寝てください、五右衛門。

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