04/10の日記
22:34
嵐
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「何とかは風邪をひかないって言うけど、あれは嘘って事かー。」
俺に変化してる才蔵が、傍らで軽口を叩いてる。
ああそうですかそうですか。
何とかって何とかだよな。
はいはい俺は何とかですか。
夕べから背筋がぞくぞくすると思ったら、今朝になって身体が異常に熱かった。
普段丈夫だから自分では気がつかなくて、姫から言われてびっくりしたくらいだ。
「五右衛門、すごく顔が赤い…すごい熱!」
そういやぁ、くらくらするような。
そして有無を言わさず布団の中につっこまれたら、これだ。
「ちっ、忍びが風邪など…体調管理もできんとは呆れて物が言えねーよ。」
言ってる、じゅーぶん言ってる。
「今日一日俺だけで騒ぐのも限界でさー、早く良くなってくれよな!」
ああ俺は一人で十分だっての。
「お前たち煩いぞ、五右衛門様は少しでも休まねばならないのだ、部屋から出ろ。さあ、姫様も風邪がうつっては大変ですから…。」
うん幸村、たまには良い事…や、あの、姫まで連れてくのかよ…
熱にうなされながら、俺はなにやら切なくなってきた。
と
「いいえ幸村…五右衛門の看病は私がしますから。」
その時、きっぱりとした声がした。
「五右衛門は血を分けた兄弟同然…今夜はここにおります。」
姫…
俺は遠ざかる意識の中で、他の連中にざまーみろとつぶやきながら、多分にやけていたと思う。
一晩中、姫は俺の傍にいた。
うとうとしてたまに目を開けると、姫が顔を覗きこんでくれる。
なんか身体はとんでもなくしんどいけど、これはこれでいいな…と思ったのは誰にも内緒だ。
しばらくこのまま…と願ったりもしたけれど、悲しいかな丈夫な俺は次の朝にはすっかり良くなっていた。
けど、俺の元気な姿に輝くような笑みをくれた姫が見られたから、やっぱり俺はこの方がいいんだろう。
「な、姫。」
「…ん…。」
そして次の日、姫か倒れて俺は皆から非難の嵐を浴びた。
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