短編

□ラブコール
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―PiPiPi、

 PiPiPiPiPi……―


「……ん……?」


シャーペンを動かしていた手を止める。

私は何事かと

急いでリビングに駆け込んだ。


(家電に電話が来るなんて

珍しいわ………。)


私は家電に表示されている名前を見る事なく

急いで電話を取った。


「もしもし。」

『あっもしもし?

 梨香さ、俺の事覚えてる?』

「………!!」


私は目を思いっきり見開いた。


『あはは、いつぶりだろうなー

 お前んちに電話をするのも。』


クスクスと電話越しの笑い声が、

私の過去を

より鮮明に思い出させる。


「…海人……!

 今更電話をよこすなんて

 一体何様のつもり………!?」


苛立ちからギュっと電話を握る手の力が

強くなる。


『……。』


暫くの沈黙の後、

海人は静かに口を開いてこう言った。




『……梨香、

 もう1回俺とやり直さないか?』




「…………ハ?」



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